瞑想・マインドフルネス

なぜ「がんの本」に瞑想なのか?

がんとの闘いで、心の安定・平穏は最も大切でありながら、しかし多くの患者が軽視しがちなことです。

食事や運動は、がんとの闘いにおいて重要なのは言うまでもありませんが、それ以上に「心の平穏」が大切です。過剰なストレスはがん細胞を元気づけます。

シュレベールの『がんに効く生活―克服した医師の自分でできる「統合医療」 も、次のように記しています。

 

五千年前から、ヨガ、瞑想法、太極拳、気功など、東洋のすべての偉大な医術的・精神的な伝統では、精神を集中させ、呼吸法に気を配るだけで、精神的にも肉体的に本当の自分自身を取り戻すことができると教えてきた。先ず多くの研究を通じて、そうした鍛錬を行えば人生におけるさまざまなストレスの影響が抑えられることが分かってきている。それはまた、体内の調和を復活させ、結果的に体が本来もっている自然な防衛力を刺激する最適の方法でもある。(P.273)

 脳幹に位置し、呼吸をつかさどっている部分は、感情脳と、免疫システムを含む体のすべての器官とのあいだで常に交換されるすべての分子ーーキャンダシー・パートがいうところの神経ペプチドーーに反応しやすい。呼吸を整えることによって生命に不可欠な身体機能と拍動に近づき、思考とつなげることができるのだ。(P.279)


呼吸によるマインドフルネス 瞑想初心者のためのアーナーパーナサティ実践マニュアル呼吸によるマインドフルネス 瞑想初心者のためのアーナーパーナサティ実践マニュアル 2016/6/25

NHKでも特集され、ストレスに対処し脳を変化させる最新の方法などとして話題となっている瞑想法、マインドフルネス。そのルーツは仏教瞑想です。

本書はその仏教瞑想の基本であるアーナーパーナサティの実践をその本来の目的を明確にしながら詳細に説いた本格的な瞑想実践マニュアルである。

著者のブッダダーサ比丘は、欧米で瞑想の師として大きな影響を与えた、タイ仏教の著名な高僧であり、本書は1988年刊行以来、現在に至るまで欧米で瞑想実践マニュアルのスタンダードとして広く読まれている、師の代表作である。

序文を寄せいているラリー・ローゼンバーグ氏は現代アメリカを代表するマインドフルネスの指導者であり、日本でも井上ウィマラ氏が翻訳された『呼吸による癒し』(春秋社)が高い評価を得ている。ローゼンバーグ氏はブッダダーサ比丘を師と仰ぎ、その思いと本書の意義を述べている。


自分でできるマインドフルネス: 安らぎへと導かれる8週間のプログラム自分でできるマインドフルネス: 安らぎへと導かれる8週間のプログラム 2016/7/16

内容紹介

うつ病の再発リスクを低くする効果があることから近年注目を浴びるマインドフルネス認知療法。本書では、その理論的背景を明らかにしつつ、8週間のプログラムの中でマインドフルネス瞑想を実践するための具体的な方法を解説、付属CDを聞きながら瞑想法を実践することができる。忙しい生活の中で不安やストレスにうまく対処し、思いやりや気遣いを取り戻すためのマインドフルネス実践ガイド。8つの瞑想法を収録したCD付き。

著者について

マーク・ウィリアムズ(Mark Williams)

英国オックスフォード大学で臨床心理学教授とウェルカム・トラスト主任研究員を務め、現在、英国オックスフォード大学名誉教授。マインドフルネス認知療法の共同開発者であり、国際的なベストセラーである“The Mindfulness Way through Depression(越川房子、黒澤麻美訳『うつのためのマインドフルネス実践』星和書店)"の著者でもある。

ダニー・ペンマン(Danny Penman)

英国の大衆紙『デイリーメール』の特集・コメント執筆者。また、英国の高級紙『ザ・インディペンデント』、英国国営放送のBBCでも活動している。博士号(生化学)も取得している。


ストレスに負けない生活―心・身体・脳のセルフケア (ちくま新書)ストレスに負けない生活―心・身体・脳のセルフケア (ちくま新書)
現代人は子どもから老人まで、ストレスを抱えて生きている。目に見えないストレスは、いつの間にか蓄積し、様々な影響を及ぼす。心と身体がクラッシュする前に、自分を解放してあげよう。カギは、「力まず、避けず、妄想せず」。いつもいっぱいに詰まった頭から、どうしたら自由になれるのか。本書では、ストレスとリラクセーションのメカニズムを知り、生活習慣と心身の深い関係を概観、行動医学、脳科学の知見をもとに、自分でできるストレス・マネジメントの方法を伝授する。


知識ゼロからのマインドフルネス 心のトレーニング知識ゼロからのマインドフルネス 心のトレーニング

新世代の身心療法で、体を使った心のトレーニングをはじめましょう

近年注目される「マインドフルネス」という言葉。日本語では「念」という漢字が当てられ、「今に心を向けている状態」を指します。

言葉だけではわかりづらい「マインドフルネス」ですが、瞑想という体を使った方法をとることで、それまであった心の状態とは別次元で心を変容させます。

「マインドフルネス」は、いわば「逆輸入された禅」。日本仏教の禅を思想的な基盤とし、グーグルやゴールドマン・サックスなど大手企業が研修に導入するなど、広く認知されてきています。

本書では、「マインドフルネス」に基づいた瞑想の方法をイラストとともに解説し、その驚くべき効果を紹介しています。

PART1:「今、ここ、私」で不安や怒りをなくす

PART2:呼吸のトレーニングで注意・集中力を高め、心を癒す

PART3:5つの瞑想トレーニングで心と体をコントロールする

PART4:「マインドフルネス」で脳がかわる


マインドフルネス 基礎と実践マインドフルネス 基礎と実践 

禅的瞑想を取り入れ新世代の心理療法として旋風を巻き起こしているマインドフルネスの効果機序の科学的根拠とその実践手法を示す。

心の病気の予防や治療にも、充実した人生を送る手段としても注目を浴びるマインドフルネスを科学的にとらえる。

 

 


〔新版〕心を清らかにする気づきの瞑想法(DVD Book)〔新版〕心を清らかにする気づきの瞑想法(DVD Book)
マインドフルネスの元となったヴィパッサナー瞑想をスマナサーラ師が平易に解説します。DVD付きなので、ヴィパッサナー瞑想の入門がすぐに始められます。

 

説明:お釈迦さまの教えを忠実に現代に伝える、スリランカ初期仏教アルボムッレ・スマナサーラ長老が直々に瞑想指導! お釈迦さまの教えと瞑想の根本的考え方をスマナサーラ長老がわかりやすく説明。映像を追うだけで、難解と思われがちな瞑想実践の方法を宗教も信仰も関係なく、特別な衣装も法具も食事制限も必要なく誰でも自宅や日常生活で簡単に正確に実践できます。冊子には、瞑想実践の具体的方法・コツ・ポイントやQ&Aをはじめ、仏教の根本的な教え、スリランカ・テーラワーダ仏教(初期仏教、上座仏教)についての解説も収録。――同名の人気DVD BOOKが、新サイズ&新価格の〔新装版〕で再登場!


マインドフルネス最前線 (サンガ新書)マインドフルネス最前線 (サンガ新書)
現代医療が仏教瞑想を取り入れた。心身医療の現場で、そして欧米のIT企業で導入される瞑想の技術「マインドフルネス」とは何か。人文から医療にまたがる4人の専門家に訊く、心と脳の科学の現在。

 

 

 


サイモントン療法――治癒に導くがんのイメージ療法(DO BOOKS)サイモントン療法――治癒に導くがんのイメージ療法(DO BOOKS)
サイモントン療法は、アメリカの心理社会腫瘍学の権威カール・サイモントン博士が開発したがん患者とそれを支える人々のための癒しのプログラムです。私たちの心や感情が身体に及ぼす影響は、近年、科学的に解明されています。本書では、治療の毎日の中で生み出されるストレスを効果的に解消する「ビリーフワーク」や「イメージ療法」など、さまざまなアプローチでがんを治癒へと導くサイモントン療法の実践的方法をくわしく解説します。

 【私のブログから】仏教界もマインドフルネスに注目

中外日報の12月11日記事で、筑波技術大学・鮎澤准教授の 「真言僧に特有な遺伝子。筑波技術大学・鮎澤准教授。護摩行時に働きだす」「一般人とは異なる、真言密教僧侶に特有な109個の僧侶型遺伝子が見つかった」との発現がツイッターで話題になっています。

マインドフルネスストレス低減法 一種の瞑想状態によって遺伝子が変異する可能性があるということなのでしょうか。心の働きによってエピジェネティックに遺伝子が変異することは、もはや常識の部類でしょうから、さもありなんとは感じます。

サイモントン療法などのイメージ療法で、がん細胞をミサイルで打ち落とすことをイメージし続けたら癌が消えてしまったという子供の例がありましたが、心の働きががん細胞の遺伝子に作用するのかもしれません。


がんのセルフ・コントロール―サイモントン療法の理論と実際がんのセルフ・コントロール―サイモントン療法の理論と実際

著者について

O・カール・サイモントン

オレゴン医科大学放射線科で研修医として勤務後、カリフォルニア州トラビス空軍基地医療センター主任放射線科医を経て、テキサス州フォートヲース市で、癌カウンセリング研究センターを開設、現在に至る。著書『がん治癒への道』等。

 


「がん治癒への道―サイモントン療法の新たな展開」「がん治癒への道―サイモントン療法の新たな展開」
身体・心・魂が一体となった癒しのトレーニング。「がんのセルフ・コントロール」で有名なサイモントン療法の新しいプログラムと、末期がんから寄跡の生還を遂げた患者の感動的で示唆に富む手紙により、患者を励まし、内なる治癒力を高めるアプローチを示す。

 

 

 


マインドフルネスストレス低減法マインドフルネスストレス低減法

心理的なストレスは、がんを育てる環境に大きな影響を与える。ストレスは炎症反応を促進し、がん細胞は炎症反応を利用して増殖する。多くのがん患者が、がんの告知を受ける数ヶ月から数年の間に強いストレスを感じた時期があったという。私にもその例があてはまる。膵臓がんが見つかった数年前から、相次いで義父と義母の介護をせざるを得なくなった。

ラットにがん細胞を接種して電気ショックを与える実験が、レバーを押せば電気ショックを避けることができるグループと、避ける手段のなかったグループ、それに電気ショックを与えられなかったグループで行われた。腫瘍の克服率が最も高かったのは、電気ショックを与えられなかったグループではなく、レバーを押せば避けることができたグループだった。避ける手段のないグループは、一番成績が悪かった。

つまり、強いストレスに曝されてもそれを克服する手段があれば、がん細胞に影響は与えられないが、手段がなく、継続的な「無力感」に陥ったときには、がん細胞が増殖するには好都合な環境が作り出されるようなのだ。

では、逆に心が穏やかであればがん細胞の成長を抑えることができるのであろうか。答えはYESである。たとえばイアン・ゴウラーの例がある。彼の著書『私のガンは私が治す―ガンの予防と対策』に詳しく書かれているが、重度の骨肉腫で余命数週間と宣告されたイアンは、「これ以上失うものはなにもない」と考え、集中的な瞑想を行った。数ヶ月の間、毎日3回、1時間の瞑想を徹底した食事療法と作に実践した。そして、彼の骨肉腫は完全に消失した。これ以外にも多くの同じような報告がある。

ストレスは人体を”緊急時に対応”させるために、炎症反応を活性化させるホルモンを放出する。そして緊急性の低い機能、つまり消化、損傷した組織の修復、免疫システムなどの機能を低下させ、それによって腫瘍が成長できる環境ができる。現在は慢性的な、長時間のストレスに曝されやすい社会である。当然がん細胞が喜ぶ環境も長時間続くことになる。

無力感に陥らず、強いストレスにも耐性を持つように自分を変えることはできるし、がんの告知を受けたら「変えるべき」である。なぜなら、治りたければ、心の平穏が保たれるようにすべきであるから。

私が実践してきたのは、まず最初にはサイモントン療法であった。書籍『サイモントン療法――治癒に導くがんのイメージ療法』に付いてきたCDを携帯プレーヤーに転送して、時間があれば絶えず聞いていた。寝る前には必ず効いて瞑想を行った。

サイモントンのサイトからもいくつかのCDを追加で購入して聞き続けた。また、カバットジンの『マインドフルネスストレス低減法』からも多くの有益なものを学んだ。


4枚組のCDで実践する マインドフルネス瞑想ガイド4枚組のCDで実践する マインドフルネス瞑想ガイド

カバットジンの『マインドフルネスストレス低減法』を自宅で実践するためのCD付きガイド『4枚組のCDで実践する マインドフルネス瞑想ガイド』が発売されている。4枚のCDが収録されていて3990円と高価だが、購入して携帯プレーヤーにコピーをした。

  • ボディ・スキャン瞑想
  • マインドフル・ヨーガ①
  • 静座瞑想
  • マインドフル・ヨーガ②

のそれぞれが50分ほどのガイドになっている。カバットジン博士のストレス低減クリニックで20年以上にわたって使われてきた内容がそのまま日本語のCDとなっている。

サイモントン療法のCDをずっと聴いてきたが、少しマンネリ気味。気分を変えてこちらで瞑想をやってみた。50分は長いが、「ずっと眼を覚ましているように」と最初に釘を刺される。

マインドフルネスは「気づきの瞑想」と言われるが、ボディ・スキャンはまさに自分の気づきです。カバットジンは次のように述べている。

癒やしというものは
一つにありようとして実践しているとき
その実践そのものから生じます。
マインドフルネスの見方からすれば、
あなたはすでに一つの全体です。
すでに一つの全体なのに
そうなろうとする意味などあるでしょうか?
何はさておき求められるのは

”ありよう”という領域に身を投じることです。
これこそ根本的に癒してくれるものなのです。

「評価も判断もしない」「がんばらない」「受け入れる」「手放す」など、老子の思想や禅に通じている。内容は座禅(ヴィパサナー瞑想)であり、道元の影響も多く受けているとカバットジン博士自身が述べている。良寛も「今ここに」ある瞬間を誠実に生きよという。マインドフルネスも「今、ここ」の「一瞬、一瞬」を強調する。それは仏教思想の「諸行無常」、万物は流転し、変化しないものはない、が根本となっている。

明日のことは分からない。再発するか転移するか、そんなことは人智の及ぶところではないのだから、確実なのは「今、ここに」ある一瞬の時間であり、命とはこの「一瞬」の連続である。「今」を充分に生きずして人生を生きたと言えるのだろうか。同じことをキケロも言っている。

このような生き様こそが、いちばん自己免疫力を上げるはずだ。


~1日10分で自分を浄化する方法~マインドフルネス瞑想入門~1日10分で自分を浄化する方法~マインドフルネス瞑想入門
マインドフルネスを試しにやってみるには、良い教材でしょう。CDも一枚で、瞑想の時間も短めです。

 

「マインドフルネス瞑想」は、ふだん考えごとでいっぱいになっている私たちの頭のなかをリセットしてスッキリと片づけ、また新しいことを考えたり行動したりするパワーをくれる、いわば心の整理術。

本書は、忙しい現代人でも、マインドフルネス瞑想を日常生活のなかで気軽に続けていけるように構成されています。

通勤・通学時間、家事の合い間など、一日のなかのあらゆるスキマ時間を有効活用して、こりかたまった心身をリラックスさせ、気持ちをリセットする新しい習慣を身につけることで、大げさではなく人生を変えるきっかけになります。